世界トップ規模の仮想通貨取引所「FTX」が11月11日に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)を申請し、破綻してしまいました。
負債総額は数兆円規模とされていて、仮想通貨業界でも過去最大の破綻で、顧客資産も適切に管理されておらず回収の見込みは薄いとされています。
これほどの大きな会社が経営破綻とは、世の中なにが起こるかわからないものです。
日本ではメジャーリーガーの大谷翔平さんがアンバサダーを務めていたことで有名な取引所でしたよね。
今回はそんなFTXが見事に崩壊するまでの流れや、これが及ぼす影響について見ていこうと思います。
FTXと創設者について
「サム・バンクマン=フリード」という人物が創設者で「FTX」自体が立ち上げられたのは2019年です。
始めに彼が立ち上げたのは2017年に暗号取引会社「アラメダ・リサーチ」という会社でした。
FTXとアラメダは2020年にはそれぞれ3億5000万ドルと10億ドルの利益を上げ、大金持ちになったんです。
彼の資産はピーク時には260億ドルまで膨れ上がりましたが、11月初めには160億ドルまで減ってしまっているようですね。
ただ、サム・バンクマン=フリードはすでに政治献金者となりアメリカンフットボール選手「トム・フレディ」やブラジル出身の女性ファッションモデル「ジゼル・ブンチェン」といったセレブにFTXを宣伝して貰うなど精力的に行動をしていたようです。
何が起きたのか?
アラメダとFTXは別会社であるにも関わらず、アラメダの資産のほとんどがFTXが開発した仮想通貨「FTT」に結びついていることがわかりました。
特にこれは技術的には何も問題はないもののFTXの流動性には疑問符がつくと報じられたことがまず初めにFTXにダメージを与えるきっかけとなります。
これを受けたFTXの最大のライバルである「バイナンス(Binance)」のCEOが約5億3000万ドル相当のFTTを手放すことを決めました。
これにより、その他の顧客も一気に引き出しに掛かりFTXは72時間の間に推定60億円ドル分の引き出しが行われたのです。
FTTの価値は一気に32%急落してしましましたが、その後、バイナンスがFTXを買収して事実上救済されるとサプライズ発表がされたことによりFTTの価値は再び上昇しました。
しかし…
バイナンスが※デューデリジェンスを行った際に、顧客の資金の誤処理とそれに伴う捜査の可能性によりこの件から手をひいてしまいます。
このニュースが広がり結局FTTはさらに急落。
サム・バンクマン=フリードは業界のライバルたちに救済を求めましたが、努力も空しくCEOを辞任することとなりました。
ここまでをざっくりとまとめると…






やっぱ買収やめるわ

というような感じですね。
さらに、その後FTXがハッキングされるという出来事が起きました。
現在はFTXのアプリなどはすべて削除するように警告が出ています。
結局、サム・バンクマン=フリードは関係者とともにバハマで拘束されたみたいです。
この出来事が与える影響
この出来事は様々な面で影響を及ぼすことになるでしょう。
各種通貨に及ぼした影響
当然ですが、FTXの破綻によりFTTの下落は顕著に出ています。
バイナンスのCEOもFTTをすべて売却することを発表し、25ドル前後で推移していたFTTは一気に下落し売りが優勢な状況となりました。
また、アラメダ・リサーチが大量に保有していたSOL(ソラナ)もFTT同様に急落となっています。
仮想通貨に及した影響
FTXの破綻はFTTだけではなく、仮想通貨市場にも大きな影響を与えています。
仮想通貨の代表格であるBTC(ビットコイン)も大きく価格が下がっています。
20,000ドル以上で推移していた価格が、一時15,000ドル台にまで下落していました。
何とか18,000ドルにまで回復したものの再び下がり始めています。
BTCは11月5日に何週間かぶりの高値を記録したばかりで上昇トレンドを期待していた人も多くいたのではないでしょうか?
多く購入してしまった人にはダメージが大きいでしょう。
金融市場に及ぼした影響
株式や為替、債券などに及ぼした影響はそれほど大きくはありません。
しかし、仮想通貨の不安定な動きを毛嫌う投資家たちの資金の向かう先が金融資産に集まっているかもしれません。
というのも、安全資産と言われるゴールド(金)の上昇が顕著に出ているのです。
価格を下げてしまっている仮想通貨に対し、ゴールドの価値は大きく上がっています。
今は出金できない?
FTX Japanは11月11日には日本円の出金を再開しました。
出金依頼はAPIまたはFTXアプリで行う必要があるみたいです。
ただ、FTX JPプラットフォームでは日本円の出金が停止されていると公式ツイッターでアナウンスされていました。(11月12日現在)
SNSなどを見ていても出金申請を行ったにもかかわらず出金が完了しないというユーザーも見かけました。
まとめ
FTXの破綻について簡単にまとめてみました。
この後の対応はまだまだ目が離せない状態ですが、何とか日本円を出金することが出来るように動いていることだけでも分かったのが不幸中の幸いといったところでしょうか。
当然と言えば当然なのですが、仮想通貨関連の規制は金融資産に比べてまだ整っていない部分があります。
よくわからない副業業者とは違い、ここまで大きな会社でも崩壊してしまうこともあると思うとさらに仮想通貨などに手が出しづらくなってしまいますよね。
長期間の取引で大きな資産を築くというのも大切ですが、期間も程々でそれなりに収入を得る方法などがあればそっちの方が良いかもしれないと思いました。
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